数のかぞえかたというのは, どの言語でも多かれすくなかれ不規則に見える現象があるものだが, やまとことばの日のとなえかたも不思議である。
平安時代あたりでは 1日から 10日までをそれぞれ 「ひとひ・ふつか・みか・ようか・いつか・むゆか・なぬか・やうか・ここぬか・とうか」 と言ったらしい(「とうか」は土左日記による。歴史的仮名づかいでは「とをか」)。 ほかに「か」でおわる語には, 「はつか(二十日)・みそか(三十日)・よそか(四十日)・いか(五十日)・ももか(百日)・いくか(幾日)」 などがある。 土左日記には冒頭の「それのとしのしはすのはつかあまりひとひのいぬのときに」をはじめとして, 日をかなで書いた例が豊富にある。
奈良時代の形は部分的にしかわからない。 「ひとひ(万3604,比登比)」 「ふつか(万4011,布都可)」 「なぬか(万4011,奈奴可)」 「とをか(景行記,登袁加)」 「ももか(万870,毛毛可)」 は確認できるし, 「いかだ(万50,五十日太)」から, 五十日を「いか」といっていたこともたしかだろう。 万葉集に「みかづき」や「いくか」と読まれている箇所はあるが, 表音的に表記されていない。 「ようか・やうか」はいかにも平安時代以降にできたような形をしているが, ざんねんながら奈良時代にどう言っていたのかは不明だ。
「ふたり」や「ふたつ」に対して「ふたか」にならずに「ふつか」になる理由について, たぶんたくさん研究があるんだろうとおもうが, なにも調べずにかんがえてみる。
「ひとつ・はたち」 などからさいごの 「つ・ち」 を除いた部分の音節数とさいごの母音によって分類すると,
以上をみると, 「か」の前に「Cu」のような何かがあって, そこから子音がおちたために, 前の母音と融合したのだろうということが, かなりはっきりみてとれる。 たとえば「ふたつか→ふたうか→ふつか」のような変化をかんがえたくなるところだが, それだと「はつか」が困るか? 「むゆか」は子音が完全に脱落しきっていない形かもしれない。
(追記 2006-01-26) 安田尚道 氏に 「日数詞」(1972) ほか, いくつかの論文があるが, すべてをすっきりと説明するのは困難のようだ。 なお, 「むゆか」以外にも「むゆ」という形は見られる由。
投稿時刻 2005-07-04(己丑) 09:46 於 言語::日本語 | コメント (8)