王力の区際ローマ字について, いままで「いろいろ」に書いた記事をもとに追加訂正して, 「王力ローマ字について」 というページを作ってみた。 論文を書いているわけではないので, とりあえずこんなもので良しとしよう。
ローマ字つづりは, さきに 「王力の「La romanization interdialectique」(4)」 で書いたものに, さらに一箇所修正をくわえた。 泰韻を (u)ai にするのではなく, oi とも ai とも異なるという意味で åi と書くことにした。 日本漢字音に関するかぎり, oi だろうが ai だろうが大したちがいはないのだが, このほうが, ほかの方言(呉語・粤語など) との対応関係がわかりやすくなる。 日本国憲法前文 では XUAIX(会)を XUÅIX に, LAIX(頼) を LÅIX に変更する必要がある。
投稿時刻 2008-01-17(丙辰) 02:01 於 言語::ローマ字 | コメント (3)
ローマ字の一覧表を作ってみたら, 多音字がたくさんありすぎて, 実用に供しがたい。
そこで, 表に注釈欄を追加して, 多音字の使いわけなどの説明を書くことにした。 また, めったに使わない音は表から除去して, その旨を注釈で説明することにした。 ところが, この作業に時間がかかってしまい, 五十音順でまだ「ち」のあたりをうろうろしている。 年内には作業が終了しないかもしれない。
そこで, 景気づけに, 「常用漢字の王力ローマ字検索」 というのを作ってみた。
いそいで作ったので, まだバグがあるかもしれないが, 漢字・音よみ・王力ローマ字のいずれかで検索できる。
なお, 同じローマ字つづりになる漢字がもっとも多いのは「ghi」で, 「岐奇祈幾期棋旗騎碁」 の 9字がある。 広韻の小韻を全部書きわけることができれば, 「岐」(支韻四等), 「奇騎」(支韻三等), 「期棋旗碁」(之韻), 「祈幾」(微韻) は異なるつづりになる。
投稿時刻 2007-12-10(戊寅) 03:50 於 言語::ローマ字 | コメント (2)
例によって, 日本国憲法前文をローマ字化してみた。 漢語のみ王力式ローマ字(大文字で記した。 ベトナム語正書法に似せて, 漢字1字ずつでわかち書きしてある), それ以外を訓令式で記してあるが, なかなか読みづらい :-) 慣れればすらすら読めるようになるのかなあ。
GNIT BUNV GUEK MIN wa, DCHINHX DONG ni SÜANV GIUV sareta GUEK XUAIX ni okeru DHOIX BIAOV DCIAV o TUNG zite XANH DHUNGV si, warera to warera no TZIV SUN no tame ni, DCIU GUEK MIN to no XIAP XUO ni yoru ZCINH GUOV to, waga kuni DZÜAN TUV ni watatte DZIX YIOU no motarasu XÜAIX DHJAC o KAK BAUV si, DCINHX FUV no XANH WI ni yotte hutatabi DCIANX ZHANH no TSOMV XUOV ga okoru koto no nai yô ni suru koto o GÜAT IX si, koko ni DCÜV GHÜAN ga GUEK MIN ni DZUN suru koto o o SÜAN NGIAN si, kono HIANX FAP o KAK DHINHX suru. Somosomo GUEK DCINHX wa, GUEK MIN no NGIAM SÜK na SINX TOK ni yoru mono de atte, sono GHÜAN UI wa GUEK MIN ni YIOU LOI si, sono GHÜAN LIK wa GUEK MIN no DHOIX BIAOV DCIAV ga kore o XANH SHIV si, sono FUK LIX wa GUEK MIN ga kore o HIANGV ZCIOUV suru. Kore wa GNIN LUIX PUV BIANX no NGÜAN LIV de ari, kono HIANX FAP wa, kakaru NGÜAN LIV ni motozuku mono de aru. Warera wa, kore ni FANV suru IT TSIAIX no HIANX FAP, FAP LINHX oyobi DCIAOX TJIK o BHAI DHJIU suru.
GNIT BUNV GUEK MIN wa, XENG GIOUV no BHINH XUO o NIAMX NGÜANX si, GNIN GAN SIANG XUX no GUAN GIAIX o DCI PUOIX suru DCHUNG GAU na LIV SIANGV o hukaku DZIX GAK suru no de atte, BHINH XUO o OIX suru DCIU GUEK MIN no GUNG DCHINHX to SINX NGIX ni SINX LAIX site, warera no ON DZÜAN to SHANH DZUN o BAUV DHJI siyô to GÜAT IX sita. Warera wa, BHINH XUO o YUI DHJI si, DCÜAN DCIAIX to LIAIX DZIUNG, AP BAC to PIAN XAP o DHIX ZCIANGX kara JÜNHV JÜANV ni DHJIU KIUX siyô to tutomete iru GUEK TZIAIX DCIAV XUAIX ni oite, MINH YIU aru DHIX WIX o simetai to omou. Warera wa, DZÜAN CIAIX GAIX no GUEK MIN ga, hitosiku KIUNGV PUX to KÜAT VAP kara manukare, BHINH XUO no uti ni SHANH DZUN suru GHÜAN LIX o JIOUV suru koto o KAK GNINX suru.
Warera wa, izure no GUEK GA mo, DZIX GUEK no koto nomi ni DCÜAN NIAMX site TO GUEK o MVU ZCIX site wa naranai no de atte, DCINHX DHJIX DHAUV DEK no FAP TZEK wa, PUV BIANX DIC na mono de ari, kono FAP TZEK ni sitagau koto wa, DZIX GUEK no DCÜV GHÜAN o YUI DHJI si, TO GUEK to DUOIX DENGV GUAN GIAIX ni tatô to suru GOK GUEK no ZHAC MVUX de aru to SINX zuru.
GNIT BUNV GUEK MIN wa, GUEK GA no MINH YIU ni kake, DZÜAN LIK o agete kono DCHUNG GAU na LIV SIANGV to MUK DIC o DHOT ZCINH suru koto o tikau.
1字に複数の読みがあるものは, おおむね意味にあうようにしたが, 決めかねるものもあった(「無視」の「視」は上声か去声か, など)。 「関係」の「係」は中国語から考えると XIAIX だろうが, 広韻に GIAIX の音しか載っていないので, GIAIX にしてある。
投稿時刻 2007-11-12(庚戌) 02:52 於 言語::ローマ字 | コメント (2)
さて, このローマ字と日本漢字音との対応を取ってみる。 歴史的な音とくらべては実用にならないので, 常用漢字表の読みとくらべてみることにする。 とうぜん歴史的かなづかいは無視し, 現代日本漢字音を訓令式ローマ字で表記することにする。 その(3)で漢音うんぬんと言ったのは撤回する。 もっとも, 規則的に対応する部分をぬきだしていけば, 「おおむね漢音」にはなるはずだ。
ローマ字つづりのもとになる音は, 原則として広韻から取ることにするが, 問題は常用漢字にあって広韻にない字が 20字ほどあることだ。 これらについては, 以下のように決めた。
また, 広韻に字は載っているが, 音が不適当の場合な場合もある。 下の一字だけ広韻と変えた。
「沸 fix」「娯 ngü」なども日本漢字音と合わないが,
中国語音とは合うので, このままとする。
「娯」については広韻に ngux の音もあるので, 上は訂正する。
投稿時刻 2007-11-12(庚戌) 00:58 於 言語::ローマ字 | コメント (0)
王力の方式をなるべく尊重しつつ, 以下のように修正を加えてみよう。
重紐はとりあえず区別しないままにする。 声母はもっと簡素化できると思うが, とりあえず変更はこれだけとする。
さきに書いた正歯音二等(zh ch dch sh)拗音の直音化(止摂・深摂をのぞく) の問題だが, うまい処理方法を思いつかなかったので, 王力のままとする。 上に書いた「魚・虞」「東3・鍾」の区別もつかなくなるので, 日本漢字音との関係において, 「数・崇・縮」がおかしくなる。 たとえば 「模mo・初cho・魚ngio・数shux・虞ngü」, 「通thong・恭giong・崇dchung・弓güng」 のように書きわけられればいいのだが, o/ong が別なところに使われているので, そうできない。 ほかに「愁・生・牲・栓」も不規則になる。 むしろ拗音のままにしておいたほうがいいかもしれない。 なお, 直音か拗音かを 1字ごとに記憶する必要が生じるが, これはつづりかたと関係なくそうなるようだ。
投稿時刻 2007-11-12(庚戌) 00:24 於 言語::ローマ字 | コメント (0)
このローマ字をローマ字書き日本語文の漢語部分をつづるのに応用できないものだろうか, と思い, まず中古音との関係が比較的単純な漢音についてかんがえてみたが, 問題が多い。 中古音と日本漢音の対応関係自体にゆれがあるものや, 例外的な対応については, たとえば英語で go と to の o の発音がちがうように, 個別におぼえるしかないだろうが, 王力の方式のままではまずい点がいくつかある。
また, 王力の説明が簡単すぎるのと, 中途半端に新しい音をつづりに反映させているため, 中古音がわかってもどうつづったらいいのかわからないものが存在する。 たとえば「母・茂・畝・牡」などはどうすべきだろうか。 「母」は広韻にしたがうのなら mouv だろうが, 唐代長安音にしたがうのなら muv にした方がいいだろう。 なお, 尤韻の唇音については「浮 vou」(p.647)のように, (虞韻でなく)侯韻に入れるようだ。
もうひとつ, 一字に複数の音があるとき, どちらを使うかという問題があるが, 王力は何も言及していない。 とくに, 現代日本語の漢字音では声調を区別しないが, おなじ字が意味によって声調をかえることがよくあるが, ローマ字日本語文に王力方式を使った場合, こういう声調のちがいまで意識して書きわけるべきだろうか。
おなじ問題は中国語を記す場合にも起きる。 たとえば「上」という字は動詞「のぼる」のとき去声, 「うえ」を意味するとき上声だが, 中国語現代諸方言では同音になってしまっている場合が多い。 p.647 では「うえ」の意味と「のぼる」の意味の「上」をともに zciangv (上声)とつづっているが, これが意図したものなのか, ほかにも多くある誤りのひとつなのか, よくわからない。
投稿時刻 2007-11-08(丙午) 03:20 於 言語::ローマ字 | コメント (2)
王力のこの文章には ひどく誤りが多いのが残念だ。 気がついたものをリストアップしてみると:
統一のとれていないもの
誤りでないと思われるもの
投稿時刻 2007-11-08(丙午) 02:26 於 言語::ローマ字 | コメント (0)
王力『龍蟲並彫齋文集』第二冊におさめる「漢字改革」(もと 1938) という文に, 「区際羅馬字(La romanization interdialectique)」 または「文言羅馬字」 というのが出てくる。 なかなかおもしろそうだ。
「区際」も「文言」も具体的なつづりはおなじで, 基本的に中古音をそのままローマ字化し, つづりと発音の関係を方言ごとに適当に決めれば, 方言の差をつづりが吸収してくれるし, 漢文をローマ字書きしたときに生ずる同音異義語の問題も軽減する, ということらしい。 王力のあげる例だと, 「単」は北平(北京)では dan, 蘇州では te, 広州では daan だが, これを「don」と書いておいて, たとえば北平では「on は an と読む」というルールを定めればいいわけだ。 もっとも「単」ていどならともかく, 「学」を「xak」(原文には hak とあるが, 改めた)と書いて xue と読ませるのは, ちょっと大変そうだ。
例字が 457字(たしょう数えもらしがあるかも)しかなく, 説明も簡単すぎるが, だいたいは中古音をもとに, 次のようにつづるらしい。
幇b 滂p 並bh 明m 非敷f 奉v 微mv 端d 透t 定dh 泥n 知dj 徹tj 澄dhj 娘nj 精tz 清ts 従dz 心s 邪z 章zc 昌tc 船dsc 書c 常zc 荘zh 初ch 牀俟dch 生sh 見g 渓k 群gh 疑ng 影(ゼロ) 暁h 匣x 喩(于羊)y 来l 日gn
ほかに w があり, 于母の「為wi 王wong」で使われている。
精から生までが特におぼえづらい。
| 摂 | 開合 | 舒声等位 | 入声等位 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 34 | 1 | 2 | 34 | ||
| 果仮 | 開 | o | a | ia | |||
| 合 | uo | ua | üo | ||||
| 蟹 | 開 | oi *1 | ai | iai | |||
| 合 | uoi *1 | uai | üai | ||||
| 效 | au | ao | iao | ||||
| 宕江 | 開 | ong | ang | iang | ok | ak | iak |
| 合 | uong | *2 | uok | *2 | |||
| 梗曽 | 開 | eng | ing | ek | ik | ||
| 合 | ueng | iung | uek | iuk | |||
| 山 | 開 | on | an | ian | ot | at | iat |
| 合 | uon | uan | üan | uot | uat | üat | |
| 咸 | om | am | iam | op | ap | iap | |
| 摂 | 開合 | 舒声等位 | 入声等位 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 34 | 1 | 34 | ||
| 遇 | u | ü | |||
| 止 | 開 | i | |||
| 合 | üi,ui *3 | ||||
| 流 | ou | iou | |||
| 通 | ung | üng | uk | ük | |
| 臻 | 開 | en | in | et | it |
| 合 | un | ün | ut | üt | |
| 深 | im | ip | |||
注
さらに, 以下のルールを適用する。
平声と入声は何もつけない。 上声は v, 去声は x を接尾する。
投稿時刻 2007-11-08(丙午) 02:07 於 言語::ローマ字 | コメント (6)
日本橋三越へ行くとちゅう, ポロロッカ食品館 の前をとおったが, 社名をアルファベットで「POROROCA」と書いているのに気づいた。 促音がつづり上にあらわされていないところが, ヨックモック の「YOKU MOKU」に似ている。
公式サイトによると, ヨックモックは Jokkmokk というスウェーデンの町の名前に由来するそうだ。 ポロロッカはアマゾン河口の逆流現象を意味し, トゥピ語に由来するらしい。
投稿時刻 2007-06-24(己丑) 11:02 於 言語::ローマ字 | コメント (0)
すのものさんのいろいろ 「欧文では Y2K のような略語などを除けば数字と文字とは並ばない?」 をみておもいだしたこと。 ギリシア文字で書かれた文章をローマ字に転写する方法はいろいろあるが, むかし η と ω をそれぞれ 7 と 3 (だったとおもう)でうつすものをみたことがある。 いまもこの方式が使われているのかどうか知らない。 おぼえやすくていいが, 定冠詞の「η」のように単独で単語になると, ただの数字を見わけにくいのが欠点だろう。
Perseus Project では ê ô をつかっているが, ユーザーの入力では h と w を使うようになっている。 いっぽう帯気音の φ θ χ の入力には f q x をつかうことになっているが, 伝統的な ph th kh/ch もつかえるので, 「πη」が入力できないなど, かなりおかしなことになっている。
ついでに, X-SAMPA という ASCII のみをつかった IPA の代用表記では, 前舌円唇母音の ø œ をそれぞれ 2 9 であらわす。 おそらくフランス語の deux(2) と neuf(9) の母音にこじつけたものだろう。
(なお, この記事では「転写」は transliteration を意味しているものとする)
投稿時刻 2005-06-21(丙子) 09:11 於 言語::ローマ字 | コメント (9)
新明解国語辞典を読む の 役人批判の原点 に, 三省堂『音訓両引き国漢辞典』が引かれているが, 文部省方式ともことなる独特のわかち書きがつかわれている。
てもとに新生社の古辞書叢刊2『元和三年板下学集』(1968)がある。 この叢書の「刊行の辞」も, 解説(248ページある)も山田忠雄によるもので, こちらは新漢字・旧かな・わかち書きだ。 「……てゐる」「……として」「……である」「……について」「……において」 などをつなげて書くところに特色がある。
投稿時刻 2005-02-25(庚辰) 17:53 於 言語::ローマ字 | コメント (0)
Google で検索してみた。
韓国語では「오무라이스 (omuraiseu)」というようだ。
投稿時刻 2004-12-22(乙亥) 17:00 於 言語::ローマ字 | コメント (0)
デーヴァナーガリーのローマ字化について。 Monier のサンスクリット語辞典の序文を読んでいたら, 1894年に Geneva Oriental Congress による Transliteration Committee が開かれたことがかいてあった。 Transliteration of Devanāgarī にも記載がある。
投稿時刻 2004-12-11(甲子) 17:00 於 言語::ローマ字 | コメント (0)
Page 1 of 1: 1