東京近郊駅名ローマ字つづり


追加情報 (2000-04-19)

メールで情報をいただきました。

臼井茂信「駅名標のローマ字つづり」(鉄道ファン 1990年8月号, 通巻352号)

に, 同様の調査があります。 拙文で問題にした 「東京・新橋・神保原・新馬場・田園調布・越中島・八丁堀・花月園前」 などについても載っています。 「新府」については「SHIMPU」と記した写真が載っています。 「広尾 Hiro-o」のハイフンについては, 「語尾に母音がつづくと長音化するので」 ハイフンが入れてあると説明していますが, あまり納得できません。 なお, この記事が書かれたあと私が調べるまでの間に綴りに多少変更があったようです。 例えばこの記事では「相模大野」が「Sagami-ohno」となっていたことが証拠写真入りで記してありますが, 私の見た駅名標では「Sagami-Ono」に変わっていました。
この記事によると, 現行のローマ字つづりは 「鉄道掲示基準規程」(1947年7月26日 達398号) が基本になっているそうです(なお原文にあたってみたところ, 題は 「鉄道掲示規程」 となっていました)。 ただしこの規程にはハイフンの使い方, ハイフンをはさんだ場合の「ん」の記法などについては記載がありません。

参照: 鉄道掲示規程 (抜粋)

駅名のローマ字つづりはおおむねヘボン式に従っていますが, 細かい部分が気になったので調べてみました。 大部分は 1998年4月に調べたものです。 (青梅まわりの写真は 6月, 下総中山は 9月)

凡例

ん+ A/I/U/E/O/Y

たとえば「Shin-yurigaoka (新百合ケ丘: 小田急線[A])」のように書いてあっても, ハイフンが n と y を隔てるためにあるのか, それとも単なるハイフン(Kita-senju と同様の)なのか, 判断がつきません。 したがってなかなか調べるのが難しい。 はっきりしたものは以下の 3例しか見当たりませんでした。

東急は律義にハイフンを書いています。 二子玉川園の乗り換え案内板では田園都市線を Den-en-toshi Line と書いていました。 代官山については, 東急の他の「〜山」のつく駅名ではハイフンを間に入れていないので(例: O~okayama, O~kurayama), n と y を隔てるためのハイフンであると判断できます。

なお, 東急の駅名表示はふつう大文字だけで書いてあるのですが, 田園調布と多摩川園は小文字を使っていました。

ん+ B

-mb- で統一されているようです。 JR南武線は「Nambu Line」, 営団南北線も「Namboku Line」と表記しています。

南部市場は「jyo」と書いてあってびっくり!

ん+ P

例が見つかりません。 山梨までいけば新府(JR中央線, ちなみに SHINPU らしい。 駅名標ぎゃらりい 6号車参照)があるのですが。

ん+ M

外苑前ですが, 同じ駅のプラットフォームの中に, ハイフンつき表記とハイフンのない表記の両方がありました。 路線案内では「Gaiemmae」になっていました。 おおむね -mm- で統一されているようですが, 「府中競馬正門前」は -nm- になっています。 また, 「ん」のあとにハイフンがはいった場合にどうするかは不統一のようです。 JRと京成は m と考えていいかもしれません。

注: 板橋本町(都営三田線)は「ほんちょう」。

「東京近郊」の定義から外れますが, Jimmuji (神武寺: 京急逗子線[A]), Shin-matsuda (新松田: 小田急線[A]) などもあります。

なお, 名古屋市地下鉄では「Sakura-honmachi(桜本町)」「Denmacho~(伝馬町)」 のように -nm- を使っていました。

長音

長音符号をつけるかどうかは鉄道会社によって違うようです。 たとえば小田急は Kyodo (経堂[A])のように長音符号をつけません。

オ長音は一般に o~ と書きます。 例:

東青梅は, Higashi-O~me [A] と書いてあるものの他に, HIGASIOHME [A] と書いた, より古そうなものもありました。 時代によって綴りも変わっていくものなのでしょう。

ちょっと違いますが Hiro-o (広尾: 営団日比谷線[A])のハイフンは何なんでしょうか?

イ長音は ii と書くようです。

石神井公園・上石神井も ii ですが, イ長音ではない?

「っ」+ CH

TCH に統一されているようです。

どこにハイフンをつけるか

うーん。 よくわかりません。 一般に 「東・西・南・北・中央・上・中・下・新・本・元」 のような接頭辞のあとにハイフンをつけるようですが, 京急はこういう場合にハイフンをつけません。 Shin-o~tsu(新大津)は別ですが, これはN+母音なのでハイフンをつけたのでしょう。 (東京近郊とは言えないので「ん+ A/I/U/E/O/Y」の例にはあげていません)

また 「武蔵xx, 世田谷xx」 のような識別用の地域名のあとにもハイフンをつけるようです。 あとはよくわかりません。 「公園・大学・n丁目・プラザ」の前にハイフンをつけるものが多いようですが, 会社によるのかもしれません。

高橋太郎「駅名のローマ字表記と, オ段長音表記の国際化」(国文学解釈と鑑賞 1997年1月号) に多くの例が集められていますが, やはりあまり結論めいたことは書いてありません。 なお, この文に引かれているローマ字つづりは一部実際の駅のつづりと異なっています。 たとえば小田急の相模大野を「Sagami-ono」と書いていますが, 実際には「Sagami-Ono」でした。 (新宿駅切符売場の運賃表に「Sagami-ono」と書いてあったのでそちらを見たのではないかと思われる) また, 調布は「Chofu」のように長音符号なしで書いている, という記述がありましたが, 私の見た駅名表記はすべて「Cho~fu」になっていました。 高橋氏の文が書かれてから現在までの間に駅名表記が変わったとも思えないので不審です。

一般に JR, 営団, 京成はハイフンをつけない傾向があるように思います。 たとえば Ochanomizu (御茶ノ水:JR総武線[A])に対して Yaguchi-no-watashi (矢口渡: 東急目蒲線[A])など。 八丁畷は JR が「HATCHO~NAWATE」, 京急が「Hatcho~-nawate」でした。 「〜前」も営団の「水天宮前・三越前・新宿御苑前・外苑前」などはハイフンをつけません (もっとも先に述べたように外苑前は実際にはハイフンつき表記もあった)。

とくに京葉線はハイフンが少ないように思います (Ichikawashiohama, Futamatashimmachi, Kasairinkaiko~en など)。

なお, 金沢シーサイドラインはハイフンを使わずにスペースで区切っていました。

その他

JR武蔵野線の市川大野は, ハイフンを使わないで IchikawaO~no と書いていました。

プラットフォームでの表記と路線案内や所要時間案内の表記とが異なっているものが多く見られました。 たとえばJR京葉線の海浜幕張は下の 4通りの表記が見られました。

  1. Kaihimmakuhari (実際の駅の表記)
  2. Kaihinmakuhari (所用時間案内)
  3. Kaihin-makuhari (車内の路線案内)
  4. Kaihin makuhari (新習志野駅の「次の停車駅」, 下りのみ)

同じ京葉線の路線案内では「潮見」を「Siomi」と書いていましたし, 所用時間案内では二俣新町を 「Futamata-Shimmachi」のようにハイフンを入れて表記していました。

やはり多くの表記が見られたのが南武線の府中本町で,

  1. Fuchu~-Hommachi (実際の駅の表記)
  2. Fuchu~-hommachi (切符売場の表記)
  3. Fuchu~hommachi (所用時間案内)
  4. FUCHU~HONMACHI (車内「停車駅のご案内」)

のように微妙に異なる表記がされていました。 南武線「停車駅のご案内」では, ほかに尻手を SITTE と書いていました。

京王線の路線案内板では神保町を「Jinbo~cho~」とつづっています。 この案内板では, 中央線が「Chu~o Line」と書いてありました。 営団地下鉄(路線を失念したがたぶん日比谷線)車内の停車駅案内でも東海道線を 「To~kaido Line」と書くものあり, 語尾のオ長音符号は略される傾向にあるのかもしれません。

京成上野駅の「先発列車の停車駅」案内板では上記の新三河島を Shin-Mikawashima のように書いていました。 この案内板の表記はかなりすごく, 堀切菖蒲園は Horikiri-Syo~buen, 船橋競馬場は Funabashi Keibajyo~ になっています。

東武は社名としては TOBU らしくて, 東武東上線を TOBU To~jo~ Line と書いています。 でも駅名の東武練馬は To~bu-nerima になっています。


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