初公開: 2001-09-18
最新版: 2003-01-16
この文書は, カナを入力するためのいろいろなキーボードレイアウトを紹介する。
目次:
この規格は, 制定前の長い歴史を持っている。
山下芳太郎氏らが 1923 年に考案した カナモジカイ のタイプライターは, 4段42キー (かな部分だけなら 38キー) あり, 最下段はシフトによって 1つのキーに 2つのかなを割り当てていた。 1952年に発売された日本タイプライターのコンビネーションキーボードでは, ラテン文字も打てるようにするため, 小さな「ァィゥェォャュョッ」を省き, 従来シフトを使って打鍵していた「セソヘケムメ」の 6字を右側の記号領域に移動した。
「カナ・ローマ字タイプライタのケン盤配列 (JIS B 9509-1964)」は, このコンビネーションキーボードによく似ており, さらに「ヌロ」も右側に移動した。 (ただし, この規格には「ヲ」字がなかったので, 「ソ」は本来の位置に戻った。 また「ム」の位置は異なっている。)
この規格では JIS ローマ字・片仮名すべてを入力することができなかったので, その後新たに「情報処理用けん盤配列 (JIS C 6223-1972, 1980年に修正, 1987年に JIS X 6002 と名称変更)」が作られた。 キーの数が増えたので, 従来入力できなかった「ァィゥェォャュョッヲ」が復活し, 従来シフトを使っていた「ヌムロ」は専用のキーを持つようになった。
以下に JIS X 6002 の仮名配列を示す(規格では片仮名だが, ひらがなに直した)。 「けせへぬむめろを」は本来のカナタイプライターと異なる場所に移動している。
| 通常 | ぬ | ふ | あ | う | え | お | や | ゆ | よ | わ | ほ | へ | ー | |
| た | て | い | す | か | ん | な | に | ら | せ | ゛ | ゜ | |||
| ち | と | し | は | き | く | ま | の | り | れ | け | む | |||
| つ | さ | そ | ひ | こ | み | も | ね | る | め | ろ | ||||
| シフト | ぁ | ぅ | ぇ | ぉ | ゃ | ゅ | ょ | を | ||||||
| ぃ | 「 | |||||||||||||
| 」 | ||||||||||||||
| っ | 、 | 。 | ・ | |||||||||||
あくまで JIS X 0201 にある文字を入力するためのものであるので, 「ゎゐゑ」などにはキーが割り当てられていないし, 濁音仮名は清音仮名と濁点を別々に入力する必要がある。
本来のカナタイプライターは五十音の同じ行に属する字がとなりあう位置におさまっていた(「ふほわ」を除く)が, 上に述べたような歴史的経緯のため, JIS X 6002 ではキーの順序がかなりばらばらになってしまった。 また右手小指で打たなければならないキーが非常に多くなったこと, よくつかう「う」のようなキーが最上段に置かれていること (これは最初のカナタイプライター以来) など, 問題が多い。 小さな字以外のかながすべてシフトなしの 1打で打てるのは長所のようだが, 実際には「っ」や句読点を入力するためにシフトキーを押す頻度はかなり大きい。
JIS キーボードの普及度は非常に高いのだが, 以上の理由のため, あるいは「?!()」などを入力するのにモード切替が必要という面倒くささのため, せっかくキートップに刻印してあるカナ入力でなく, ローマ字入力(これはこれで問題が多いが)を使っている人が多い。
ANSI キーボードでこの配列を使おうとすると「め」の右にキーがないなどの問題が発生する。 このため, Macintosh 用のカナ配列では, シフト+「け」で「ろ」が入力できるようにし, 濁点の右に「む・へ」を持ってくるなどの変更を加えて, ANSI QWERTY 配列との互換性を保っている。 また Windows で 101/104 キーボードを使った場合は, 「ろ」が「`~」(「1」の左)で打てるようにし, 「\|」で「む」が, シフト+「ほ」で「ー」が入力できるほか, かぎかっこの位置を変えて 「[・]」 に対応するようにしている。
なお, かな配列にはこのほかに 「印刷電信機のけん盤配列および符号 (JIS X 6001-1961)」 という規格もあるが, こちらは JIS X 6002 とは全く配列が異なっている。
nicola.sunicom.co.jp
www.oyayubi-user.gr.jp
www.ykanda.jp
www2d.biglobe.ne.jp/~msyk
homepage1.nifty.com/cura/oya/index.html
Nicola = 日本語入力コンソーシアム配列 (NIhongo-nyuryoku COnsortium LAyout)
1978年に, 神田泰典氏を中心とする富士通の日本語タイプライターの開発グループが開発 (池上良己氏発案), 1981年発売の OASYS に搭載されて以降普及した, いわゆる親指シフトキーボードを 1990年に微改良したもの。 同一方向のシフトを同時打鍵することによってによって上部キーを, 逆方向のシフトによって濁音・半濁音を入力する。
31 のキーを使い, かなと記号を入力できる。“ゎゐゑヵヶ”や踊り字はない。 「ヴ」はオプション。 NICOLA 配列はかな以外には「ー。、・.,゛゜」の位置しか規定していないが, 現実のシステムでは, OASYS と同様“「」” をシフト4 とシフト5 で打てるようになっている。 また, 単独の濁点・半濁点の位置は, 規格書ではクロスシフトで打鍵するようになっているが, 現実のシステムでは「、」の右のキーを打鍵するようになっているのが普通だ。 下の配列図では規格書の位置をかっこつきで示した。
オリジナルの OASYS の親指シフトでは, 半濁点つきのかなは,
通常のキーボードのシフトキーの位置にあるキーとともに清音かなの字を打鍵していた。
ほかに機能キー(後退・取消・タブ・空白・実行・改頁)なども OASYS と異なるが, 省略。
オリジナルの配列は, 神田氏のサイトにある資料を参照。
なお, 最初の OASYS-100 は読点(、)の位置などが後継機種と異っている。
NICOLA 配列は支持者が多く, 106キーを親指化する「親指ひゅんQ」や「Q's Nicolatter」, レッスン用のソフトウェアなどが充実している。 NICOLA(親指シフト)を使うと、どれくらい快適に打てるの? によれば, 専用キーボードを使えば, 分速 240-360 打が可能だという (ふつうの人間にそんなに速く打鍵する必要があるのかどうか疑問だが, それだけ楽に打てるという意味だろう)。
| 逆方向シフト | (゜) | が | だ | ご | ざ | ぱ | ぢ | ぐ | づ | ぴ | ||
| (ヴ) | じ | で | げ | ぜ | ば | ど | ぎ | ぽ | ||||
| び | ず | ぶ | べ | ぷ | ぞ | ぺ | ぼ | (゛) | ||||
| 単独打鍵 | 。 | か | た | こ | さ | ら | ち | く | つ | , | 、 | |
| う | し | て | け | せ | は | と | き | い | ん | |||
| . | ひ | す | ふ | へ | め | そ | ね | ほ | ・ | |||
| 同方向シフト | ぁ | え | り | ゃ | れ | よ | に | る | ま | ぇ | ||
| を | あ | な | ゅ | も | み | お | の | ょ | っ | |||
| ぅ | ー | ろ | や | ぃ | ぬ | ゆ | む | わ | ぉ | |||
NICOLA の欠点をあげつらうと, 「ひ・ふ・へ・ほ」などの頻度の少ない字がシフト不要で, より頻度な高い「の・に・る・ょ・っ」 などにシフトが必要になってしまっていることがあげられる。 これは, 設計者がうっかりしたのではなく, 濁点のつけられるかなをすべてシフトなしにしようとしたのと, 指がホームポジションから外れないことの方を シフト回数を減らすことよりも重要視したためであると思われる。
また, 親指で押すシフトキーが 2個必要なため, 通常のキーボードをソフトウェアだけで NICOLA に対応させようとするといささか無理が生じる。 この問題を解決したものとして, 「花」を応用した 中指シフト NICOLA 配列 がある。 「て」と「き」のキーをシフトがわりに使用する(「て」「き」自身は「てけ」「きと」で入力)。 ただし, 同一方向シフト打鍵のかわりに逆方向シフトキーを入力し, 濁音を入力するのには「ん」の右のキーを押すなど, 完全には親指シフトと同じでないようだ。
なお, 私以外の人間が NICOLA 方式に対する問題点をあげた文章について, 目についたものは 親指同時打鍵に対する疑問の説いろいろ としてまとめてある。
ふつうの JIS キーボードを親指化するソフトウェアはキーカスタマイズ機能を持ったものが多く, この機能を使って独自の NICOLA 風配列を考案している人もある。
Ray さんの 理想の日本語入力を求めて というページにある「飛鳥」などの配列はかなり過激だ。 この「飛鳥」は, 最下段のキーの方が上段(3段目)より打鍵が楽, というかなり変った思想のもとに設計されているのが興味深い。 親指シフトキーを駆使してかなりの数のキーがホームポジションで打てるようになっているが, ミスタイプのしやすさは気にならないのだろうか。
(配列図は省略)
tron.um.u-tokyo.ac.jp/TRON/proj95/BTRON.html
www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/yajiuma/key1.jpg
(やじうま Watch に載った同氏のキーボードの写真, みやすい)
www.tanomi.com/seisan/images/st-key.gif (ST-2000 配列画。もっとも見やすい)
原理的には NICOLA に非常によく似ているが, 頻度の高いかなは単独打鍵で入力できるように工夫されている。 なお, 単独打鍵で入力できる文字の集合は, TRON・新JIS・花ともきわめて近い。
同方向シフト・逆方向シフトを使う。 左のシフトキーを「赤シフト」, 右のシフトキーを「青シフト」と呼んでいる。 (美崎薫氏の説明には左右両方を押す拡張シフトがあるが, かなと関係ないのでここでは省略)
30個のキーを使用するが, 半濁音は 1キーでは入力できない。 そのかわり「ゐゑゎヵヶ」なども入力可能。 括弧類は OASYS 同様テンキー+シフトに割り当てている。
ラテン文字の入力に DVORAK を使っているのも特徴。
実際の製品としては, 1991年にパーソナルメディアが「TK-1」を発売した。 美崎薫氏は個人で 1995年に革張りの「ZeRO-ONE」キーボードを開発したが, 「TRON 配列だが TRON キーボードではない」そうだ。 tanomi.com で, 「スケルトロン ST-2000」を作成。限定200台。 (2001年4月完成予定といわれていたが, 8/15 にのびた) これも「TRON 配列だが TRON キーボードではない」そうだ。
| 逆方向シフト | び | ぞ | ご | ば | ぼ | ぎ | げ | ぐ | ゐ | ||
| だ | ど | が | で | ぶ | ゛ | ぢ | ヴ | じ | ゑ | ||
| ヵ | ヶ | ぜ | ざ | べ | ず | づ | , | . | ゎ | ||
| 単独打鍵 | ら | る | こ | は | ょ | き | の | く | あ | れ | |
| た | と | か | て | も | を | い | う | し | ん | ||
| ま | り | に | さ | な | す | つ | 、 | 。 | っ | ||
| 同方向シフト | ひ | そ | ・ | ゃ | ほ | え | け | め | む | ろ | |
| ぬ | ね | ゅ | よ | ふ | お | ち | ー | み | や | ||
| ぇ | ぉ | せ | ゆ | へ | わ | ぃ | ぁ | ゜ | ぅ | ||
原理が同じなので, 打鍵数そのものは NICOLA とほとんど変わらないが, シフトを押す回数はずっと少ない。 また, 薬指や小指の負担も少なくなっている。 下段のキーを使う頻度が NICOLA より高いようだが, これはむしろ NICOLA が下段を使わなすぎるのだろう。
旧 JIS C 6236-1986, いわゆる新JIS配列, 1999年に廃止
www.ykanda.jp/input/jis/jis.htm
www.pfu.co.jp/hhkeyboard/pfutechreview/section3.html
シフトは通常のキーボードと同様に小指で打つが, オプションとしてスペースバーと同じ段にもシフトキーを置くこともできるとある。 解説ではこれをセンタシフトと呼んでおり, これによって打鍵の誤りが少くなるという。 仮名のシフトは「プリフィックス形」と称して, シフトキーを持ちあげてから文字キーを打ってもシフトと認識される。 濁音は濁点キーとの組み合わせによって入力する。 よく使うキーはシフトなしで入力でき, 左右のキーを交互に使うように工夫されている。
32キー x 2段で 63文字を入力する。 入力できる文字の種類は JIS X 6002 と同じ。 「れ」の右を使用しないので, JIS X 6002 よりも文字キーがひとつ少なくてすむ (英数モードではシフト「0」で「_ (下線)」を入力する)。
| 通常 | そ | け | せ | て | ょ | つ | ん | の | を | り | ち | |
| は | か | し | と | た | く | う | い | ゛ | き | な | ||
| す | こ | に | さ | あ | っ | る | 、 | 。 | れ | |||
| シフト | ぁ | ゜ | ほ | ふ | め | ひ | え | み | や | ぬ | 「 | |
| ぃ | へ | ら | ゅ | よ | ま | お | も | わ | ゆ | 」 | ||
| ぅ | ぇ | ぉ | ね | ゃ | む | ろ | ・ | ー | ||||
シフトの位置が通常のキーと同じであることや, 濁点が独立していることなどは, JIS X 6002 のユーザーが移行しやすいように配慮したものだろう。 一時期親指シフト派から強烈に批判されことがあったが, いささか覚えづらいことをのぞけば, かなりすぐれた配列だと思う。 ほとんど普及しないまま廃止されたが, 規格票解説にみられる方針は, TRON や花などに引きつがれているとも考えられる。
homepage3.nifty.com/togasi/hana_no_kuni/index.html
冨樫 雅文氏が考案。
中指ホームポジション(qwerty の d と k)をシフトキーがわりに使用する。 ひとつのかなを 1打または2打で入力するので「かな入力」というのは少し語弊がある。 しかし通常のローマ字入力よりは打鍵数が少なくてすむらしい。
33キー x 2段で 63字が入力可能(「え」については, 最上段右端(¥)でも入力できる)。 かならずクロスシフトする。 濁音用のシフトは存在しない。 その意味では新JIS キーボードに似ている。
| 通常 | ょ | て | と | こ | は | っ | く | う | る | ら | ー | |
| す | か | ☆ | き | た | ん | れ | ☆ | ゛ | ろ | り | ||
| さ | し | な | の | に | い | つ | 。 | 、 | め | え | ||
| シフト | ひ | け | ぇ | ほ | へ | ゃ | ま | そ | も | ぃ | 「 | |
| ぁ | よ | ゅ | や | ゜ | ・ | ふ | ち | む | ぉ | 」 | ||
| ぅ | せ | あ | わ | ゆ | ね | み | を | お | ぬ | |||
ANSI のキーボードで使おうとすると「え」の位置にキーがないが, 「\」のキーを使うのだろう。
一見右手小指に多くのキーをわりあてているようだが, いずれも頻度の低いキーなので, 実際には小指にはあまり負担はかからない。 また, 中指シフトを押す回数も思ったほど多くない。
冨樫氏本人もいっているように, 最下段のキーの出現頻度がほかの方式に比べてやや多めである。
個人のカナ配列の案というのは, NICOLA エミュレータで配列をカスタマイズしている人を除くと, ローマ字配列の案にくらべて少ないようだが, それでも南堂久史さんの 「新50音配列」 などがある。 下のナラコードも基本的には五十音配列だ。
www.naracom.co.jp/naracode/what.html
奈良總一郎氏が考案, ナラコムが「かんたんタッチ」という商品名で売っている。 五十音順にかなを配列して, あまった部分によく使う音節を配置したもの。
ナラコムはほかに PDA用の 25キーのキーボードも売っている。
| 通常 | の | ね | ぬ | に | な | っ | あ | い | う | え | お | こう | ー | |
| ほ | へ | ふ | ひ | は | ゜ | か | き | く | け | こ | ちょう | |||
| ろ | れ | る | り | ら | ゛ | さ | し | す | せ | そ | どう | |||
| を | わ | よ | ゆ | や | ん | た | ち | つ | て | と | ||||
|   | ||||||||||||||
| シフト | のう | にょう | にゅう | きゃ | ぁ | ぃ | ぅ | ぇ | ぉ | ごう | ちゅう | |||
| ほう | りょく | りょう | ひょう | きゅ | きょ | きょう | ぎょう | きゅう | ぎゅう | 「 | ||||
| も | め | む | み | ま | しゃ | しゅ | しょう | じょう | しゅう | じゅう | 」 | |||
| よう | ょう | ょ | ゅ | ゃ | しょ | ちゃ | 、 | 。 | ・ | とう | ||||
この方式は, 初心者向けに全体の打鍵数を減らすことと, 覚えやすくすることに眼目があるようだ。 他の方式とは逆に, わざと右手を多く使うように設計してあるのも初心者向けの配慮だが, 左手がちゃんと使える人間や左ききの人間にとっては, かえって使いにくい。 また, よくつかうガ・ザ・ダ行の濁音が右手指で 2回打鍵することになるのはよくない。
QWERTY キーボード配列は, 19世紀の終わり頃から使われている古い配列で,
ANSI INCITS 154-1988
という規格になっている。
(もと ANSI X3.154-1988, 1994年修正。
この文章の他の箇所では「ANSI」と略した。
米国の規格の検索には A National Resource for Global Standards が便利)
英語の入力方式としても改良の余地があり, DVORAK
をはじめとする改良案が知られているが,
普及度の高さではこれにかなうものはない。
さて, 日本の JIS X 6002 も, 英数字部分についていえば ANSI と同じであり, 日本語を QWERTY でローマ字入力するのは, キーボードの種類を気にしなくてよいという利点がある。 また, ラテン文字の入力になれていればほとんど学習しないですむのも長所である。 反面, 入力効率はあまりよくない。
(配列図は省略)
www.crew.sfc.keio.ac.jp/~chk/index.html
大岩元氏(当時豊橋技術科学大学, 現在慶応大学)の考案。 1984年にエプソンのハンドヘルドワープロ HC-88 で採用され, それなりに評価を得た。
16個のキーを使って, カナを 2打で入力する。 また, 漢字は, かなから変換することができるほかに, 「無想式ツーストローク」を使えば 30個のキーを使って 2打で入力可能。 むしろこちらの方が重要で, 現在の「TUT-Code」につながっている。
なお, TUT-Code のエプソンによる商品名が「タッチ 16」だ, と書いている文書もあるが, 大岩氏自身は「タッチ 16」を TUT-Code のかな部分として扱っているようだ。
TUT-Code では 2打で漢字 725字およびかなが入力でき, 3打で漢字 1800字が入力できるが, ここではかな入力のみを説明する。
| や | ま | かー | ★ | は「 | 」 | う | い | ||
| わ | さ | た | な | ら | え | お | あ | ▽ |
行を左手で, 段を右手で打つ。 「あ」行は「★」を行とする。 「ん」は「な▽」と打つ。 また, 行と段の間に「▽」をはさむことで, 濁音かなや小さい字(ぁぃぅぇぉゃゅょっ)を入力する。 半濁音および「づヴヵヶ」は「▽」の前後に 2回行を入力する(は▽はあ→ぱ)。 (この方式はリズムがくずれやすいので, いくつかの改良型が存在する)
キートップに書いてある“「」ー”は直接入力して, 2打めにスペースバーを打つ。 (同様にして入力できる記号はほかにもある)
homepage3.nifty.com/keyboard/Choi.htm
「増田式キーボード学習法」の教材を製作している増田忠士氏が考案。 TUT-Code を長く使ってきた増田氏が, TUT の問題点を反省して作ったものらしい。 同氏の漢字直接入力法である「超絶技巧入力」でも使われている。 いくつかのバリエーションがあり, 片手やテンキーだけでも入力できるようになっている。 PDA にも応用可能。
両手入力では, 右手で行を, 左手で段を入力する。 行・段の配列は五十音に従っているので, きわめて覚えやすい。
| お | え | た | な | は | ||||||
| s2 | う | い | あ | わ | あ | か | さ | s1 | ||
| ま | や | ら |
清音のあとに s1 を押すと濁音(または「ぁぃぅぇぉゃゅょゎ」), s2 を押すと半濁音(または「っヴヵヶ」)になる。 s1 を 2回押すことで s2 の代用になる。
「ん」は「わ行う段」で出る。
タッチ16と同じように, 長音符号や記号類も入力できる (きまったキーのあとに s1 を打つ) が, 省略する。
タッチ16と使用感はそれほど変わらない。 子音に最下段を使っているが, 使用頻度はあまり高くない。 使用頻度の高い s1キーを右手小指で押す必要があるのが欠点といえば欠点か。
www.asahi-net.or.jp/~QX5S-MSMR/renkin/gcode/index.html
homepage3.nifty.com/keyboard/G-code.htm (上記増田さんのページ)
増田さんと同様, m(as)m (増村成吾)さんも漢字直接入力法である G-Code を開発した。 下の mykey と同じく, 濁音(および小文字)専用の母音キーがあり, 子音を左・母音を右に並べて 2打で入力する。 あきを利用して「ん・っ・ー」などが入力できるところも同様である。 ただし母音から先に入力する(右・左の順で入力)ところがほかの方式と異なっている。
G-Code のもうひとつユニークなところは, 左右対称の打鍵によって片仮名が打てるところで, たとえばホームポジションの右手中指→左手人差指と打てば平仮名の 「く」が入力されるが, 左右を入れかえて左手中指→右手人差指と打てば「ク」になる。
(配列図は省略)
竜岡博氏が 1987年(1988年か?)に考案。 以下, 「半世紀のユーザからの提案」(『bit』1990年11月号) に従って述べる。 子音を右手・母音を左手に置いた 2打で 1仮名を入力する方式だが, 「濁音つき母音」のキーを置くことによって, 子音の数を 10個に減らし, 2段めと 3段めの 20キーだけを使い, すべての仮名が右左交互打鍵の 2打で打てるようにしている(交互打鍵率100%)。 余った 1段めのキーは矢印キーやファンクションキー・数字の入力などに使う。 機能キーを含めて交互打鍵で入力できるようになっているものは他に類を見ない。 ここでは仮名キーのみを示す。
| え゛ | い゛ | あ゛ | お゛ | う゛ | ま | や | ら | は | わ | |
| え | い | あ | お | う | な | あ | た | か | さ |
小文字はたとえば「ゃ」を「や゛」として入力する。 また, 「。、ーっ」を「り゛・る゛・れ゛・ろ゛」に割りあてるなど, あきを利用している。"「" はヤ行エ段, "」" はヤ行イ段, 「・」はワ行ウ段に割りあてられている。 ひらがなは全部で 80あまりあるが, 10子音 x 10母音で 100 の組み合わせがあるので, いくつかの記号を合わせても足りる道理である。 打鍵数は多いが, リズムがくずれないことがそれを補っている。
濁音母音キーの考え方は上記 G-Code に影響している。 また立松幹雄氏の「科学で乾杯!」というサイトでも, おそらく mykey とは独立に 濁音母音キーをもつキーボードを提案している。
121ware.com/apinfo/content/mworld
森田正典氏が考案。 1983年に NEC PC-8800 用のワープロの付属品として発売された。 その後 NEC のワープロ「PWP-100」や「文豪」に搭載されたほか, NEC PC-9800 用の「楽々キーボード」, PC-98NX 用の「エルゴフィットキーボード」としても販売された。
M式キーボードは中央を開けた左右対称のキー配置や親指で押すシフトキーなどに特徴があるが, ここでは配列についてのみ見る。 左に母音・右に子音をおおむね五十音に従って並べつつ, 「Ai, Ei, Ou; An, In, Un, En, On; Ak, Ik, Uk, Ek, Ok; At, It, Ut, Et, Ot; Ky, Sy, Ty, Ny, Hy, My, Ry, Gy, Zy, Dy, By, Py」 などの専用キーによって, とくに漢語が高速にかつ左右交互打鍵で入力できるようになっている。
M式については, 親指シフトを開発した神田氏による 批判 がある。
本来の M式は, 同じ音であっても, それが2音節の漢字・単音節の漢字・漢字以外のどれであるかによって, 押すキーが異る。 それによって, 同音異義語を減らすことができるらしい。 また, 「At」のキーは「あつ・あち・あっ」のどれでもあり得る。 しかし, それでは通常の IME が使えないので, 最近の楽々キーボード・エルゴフィットキーボードなどではもっとおだやかな配列になっている。 すなわち, 「Ek」は「えき」, それ以外の「Vt・Vk」(Vは母音)は後ろに「u」がついたものとする。 下にその新しいキー配列を示す。
| 通常 | Q | L | J | F | C | M | Y | R | W | P | |||
| E | U | I | A | O | K | S | T | N | H | ||||
| Ei | X | V | Ai | Ou |   | G | Z | D | 、 | B | |||
| シフト | Ek | Uk | Ik | Ak | Ok | My | っ | Ry | ん | Py | |||
| En | Un | In | An | On | Ky | Sy | Ty | Ny | Hy | ||||
| Et | Ut | It | At | Ot | Gy | Zy | Dy | 。 | By | ||||
もとの M式では, Q L J F C の位置に非漢字用の母音が, X V の位置に Uu Ui があった。
なお, エルゴフィットキーボードと, それによる入力装置(キー配列を含む)は特許出願されている。
NTT の白鳥嘉勇氏らが開発した方式で, 最初の研究報告が 1984 年に出ている (「日本語入力用ローマ字キー配列の最適化」 情報処理学会研究報告 「日本文入力方式」No.18)。 以下, 「日本語入力用新キー配列とその操作性評価」(情報処理学会論文誌 28.6, 1987) に従って述べる。 基本的には, 左手に子音字・右手に母音字を並べて, 左右の手による交互打鍵を行なうようにしたもの。 また, 右手のあいた位置には An, In, Un, En, On; Ai, Uu, Ei, Ou を配置することによって, 交互打鍵率の向上と入力の省力化をはかっている。 M式と基本的な発想はよく似ているが, SKY はシフトを一切使わず, ふつうのキーボードによって実現でき, 単純明解で覚えやすい。 上記論文によれば, 通常のローマ字入力では 1.7打/仮名のところ, SKY では 1.5打/仮名ですむという。
| 、 | W | R | M | H | UU | AI | OU | 。 | EI | |
| N | T | S | K | Y | U | A | O | I | E | |
| P | D | Z | G | B | UN | AN | ON | IN | EN |
じっさいには PC-9800 シリーズ用の常駐プログラムとして配布されたもので, 上記以外にもかぎかっこや長音符号, 中黒などのキーが定義されている。 木村泉『ワープロ徹底操縦法』(岩波新書 1991) pp.160-173 に詳しい説明がある。
後述の AZIK のサイトにも簡単な説明がある。 また www.tea.forus.or.jp/toshi/exhibition には SKY 配列(を少し拡張した配列)の Canna / たまご用設定ファイルがある。
hp.vector.co.jp/authors/VA002116/azik/azikindx.htm
木村清さんの考案になる, 通常のローマ字入力との互換性がきわめて高い入力方式。
QWERTY に対してほぼ上位互換を保ちつつ, 通常のローマ字入力で使っていない, 子音の次に子音を打つキーコンビネーションを利用して, 楽にはやく打てるように改良したもの。
An, In, Un, En, On; Ai, Uu, Ei, Ou が 1キーで打てるようにしているところや, 拗音の入力を容易にしているところは, M式によく似ているが, 過激な M式とは対照的に, 通常のローマ字入力ほぼそのままでも入力できてしまう。 (ただし, AZIK のこの考え方は, M式でなく SKY配列を参考にしているそうだ)
そのかわり, 拡張部分はあまりわかりやすくはない。
| 通常 | ん | わ | え | ら | た | や | う | い | お | ぱ | |
| あ | さ | だ | ふぁ | が | は | じゃ | か | (小字) | っ | ー | |
| ざ | しゃ | ちゃ | ヴァ | ば | な | ま | |||||
| 子音のあと | Ai | Ei | E | (略) | (略) | (拗音) | U | I | O | Ou | |
| A | (略) | En | (母音) | (拗音) | Uu | Un | In | On | |||
| An | (その他改良) | (略) | (An) | (略) | |||||||
「(略)」とあるのは, 略語入力に使用。「こと(kt), ます(ms), ため(tm), する(sr), たび(tb)」など 25 種類が定義されている。
F の位置が「(母音)」となっているのは, 入力のしにくい(直前の子音と同じ指を使う)母音の代用として使用する。 「ゆ・ふ・ぬ・じゅ・む; き; で・ちぇ」および「ぽん」(これは同じ指ではないが)に使える。
「(その他改良)」とあるのは, 「さ・せ・ざ・ぜ」などが打ちにくいのを改良するのに用いるもの。 ただしかなり不規則であるし, あまり改良になっていないような気がする。
| かな | さ | さい | せ | せい | ざ | ざい | ぜ | ぜい |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 通常 | sa | sq | se | sw | za | zq | ze | zw |
| 改良 | sa | SF | se | SS | ZC | ZV | ZF | ZX |
拗音と An が 2箇所にあるのは, 入力をスムーズにするため。 (ただし「まん」は Z の側を使う必要がある。「MN」と入力すると「もの」になる)
このほか, 外来語拡張「うぉ(wso), てぃ(tgi), でぃ(dci), うぉー(wp), ふぉー(fp)」もある。 (テュ・デュ・トゥ・ドゥは?)
ローマ字のようにア段が 1打で打ててナ行の子音とンを区別しないようなものから, 完全に五十音図の行と段に従って入力する方式までいろいろあるが, 子音と母音を分ける方式はキーの数が少くて覚えやすく, かつ実装もやさしいため, いろいろの方式が存在するようだ。 www5.justnet.ne.jp/~jd にある SHIP 配列もそのひとつで, 効率を上げるよりも, 小学生にとって覚えやすい配列であることを狙いとしている。 ATOK12/13, MS-IME98 用の設定ファイルがある。
近藤哲哉氏の案 ではローマ字のウ段を省いたり拗音専用のキーを設けたりして効率的入力をはかっている。 改良によって実際にどれだけ効率があがったかが記されていないのが残念だ。
この文書の初版作成以降にも, 和ならべさんの 和ならべ や, Nowake さんの さくら配列 など, 新しい配列が生まれつづけている。 後者は親指を使ったり, 子音キーを押しっぱなしにするなどの工夫がこらされている。
pr.fujitsu.com/jp/news/1997/May/28-3.html
muchy.com/review/shkeys.html
(標準の Graffiti 手書き入力の方がずっとはやいと酷評)
しなの富士通が開発。 1999年に Palm 用の入力装置として発売。
縦3列, 横6行の 18 のキーを片手で入力する。 複数のアルファベットをひとつのキーに割り当てており, T9 と同様, 辞書によって変換する。
ミサワホームの開発したローマ字入力方式。 テンキー 12個に 1個から 3個のローマ字を割り当ててある。 たとえば「1」には「KGF」が割り当てられており, 1回打てば K が, 連続2回打てば G が, 3回打てば F が入力できる。 拗音などは普通のローマ字と同様の方法で入力する。 おおむね五十音順であるので覚えやすく, 入力効率もそこそこよい。
| Aー | I | U |
| Eっ | O | YWX |
| KGF | SZJ | TDV |
| NCQ | HBP | RML |
いろんな日本語入力体験コーナー (木村清さん)
各種入力方式を試用できる Java アプレット集。
m(as)m's homepage (m(as)m (増村成吾) さん)
キーボードと入力方式に関する膨大な情報がある。
モバイル文字入力手法情報 (増井俊之さん)
SSR (産学戦略的研究フォーラム) 1998年度調査資料, 増井俊之氏発表資料
増井氏はソニーの携帯用の「POBox」開発者。