スカポン太さんのサイトでちょっと混乱した話題があったので, ちゃんと調べてみた。
甘草のほうのリコリス(licorice, 英国では liquorice) は, ギリシア語の γλυκυρριζα (glycyrrhiza) に由来。 これは glycys (甘い) + rhiza (根) の合成語。 甘草の属名もおなじく Glycyrrhiza。 ラテン語にはいるときに, liquo (液体にする) との類推がはたらいて, liquiritia という形になったのが, 英語に借用された。
いっぽう, ヒガンバナの属名のリコリスは Lycoris (リュコーリス)で, 上とは無関係。 こちらもつづりはギリシア語っぽいが, 紀元前1世紀のローマの詩人であるガッルスの詩のなかに出てくる女性の名前に由来する。 この女性は本名をキュテーリスといい, ガッルスの情婦だったが, 詩のなかでは名前がかえてある。 ガッルスだけではなくアントニウスの情婦でもあったという。 ガッルスの詩はほろびて伝わらないが, ウェルギリウスの詩のなかに登場する……とおもったら, 「ラテン語徒然」というブログで, 日本語訳がつけられていた。
1978年にエジプトで発見されたパピルスに詩がのっていて, そこに Lycoris のことがうたわれていたので, これこそ失われたガッルスの作品ではないかといわれているそうだ。 これもおなじブログで日本語訳がつけられている。
……えらくひどい女として描かれてますね。
Lycoris について, 日本のサイトにしばしば 「ギリシア神話の海の女神の名前」 うんぬんと書いてあるが, 根拠を見いだすことができなかった。 なにかのまちがいではないかとおもう。
投稿時刻 2008-03-12 22:14 於 life::food | コメント (3)