鉄腕アトムが米国でさいしょに放送されたときに 「Astro Boy」 の名前になったことについて, atom が英語でオナラを意味するから…… という説が日本ではまかりとおっている。
この説は手塚治虫じしんが著書のなかで述べているのだが, わたしが何人かの米国人にたずねたり, スラング辞典類をしらべたところでは, atom にはそのような意味をみいだすことはできなかった。 鉄腕アトムについて英語で書いているサイトは山ほどあるが, 「コミックヒーローである Atom と名前がぶつかるので, うったえられる可能性があるから名前を変えた」 という説が多く, オナラ説を目にしたことはない。
……という話をほかの人にすると, たいてい 「スラングだから辞書にはのってないんだ」 「昔の流行語だから今の人は知らないんだ」 とか, 根拠なしに手塚治虫を擁護するこたえがかえってくる。 しかし, かんがえてもみてほしい。 もし atom にそんな意味があるのなら, 米国人はなぜみずからのキャラクターに 「Captain Atom」 だの 「Atom Ant」 などという名前をつけたのだろうか?
というわけで, わたしのいいたいことは, 「作者本人の書いた本は貴重ではあるが, 書いてあることすべてが事実とはかぎらない」 ということだ。
ちなみに名前がかわったのはアトムだけではなくて, ウランは Astro Girl に(現在は Zoran), コバルトは Jetto という名前になったそうだ。 お茶の水博士はさいしょ Dr. Elefun (鼻が長いからでしょう), カラー版では Daddy Walrus (ひげがセイウチのようだから), 現在のものでは Dr. O'Shay とよばれていて, 米国のアニメファンはもとの日本の名とならんで 4とおりおぼえる必要があるわけだ。
(中国ではそのまま「茶水博士」だったけれど, 「茶水」が彼と何の関係があるのかと中国人にたずねられたことがある)
投稿時刻 2004-09-03 04:41 於 toon::anime | コメント (5)