前回の補足。 Filmation が「Mighty Mouse」などのリメイクをさかんにおこなった経緯だが, 「Mighty Mouse」を作っていた Terrytoons を CBS が購入(1955), 1971年に CBS から Viacom が分かれたときに, 映画部門は Viacom に属するが, Terrytoons は閉鎖。 そののち 1979年に Viacom が Terrytoons 旧作のキャラクターの権利を Filmation にライセンスして新作を作らせたということのようだ。
さて, 1980年代後半にはいると, ようやく彼らしさのあらわれた作品が出てくる。 ところがざんねんながら, この時代の作品はほとんど見ることができない。 わたしも見ないで書いているので, とんでもないまちがいをしているかもしれないが, その場合は指摘してください。
ラルフ・バクシというと, 日本では「指輪物語」やロトスコープが有名だが, もともと Terrytoons にいた人であり, 1987年に自分のスタジオをつくり, 「Mighty Mouse」のライセンスを得て新作を作った。 タイトルがフィルメーション版とそっくりなのは, わざとやっているのだろう。
前回 書いた 「The Onion」 のジョンK. のインタビューによると, 「The Jetsons」リメイクで勝手なことをやったために「干されて」いたところ, バクシから電話がかかってきたために助けられたのだという。 ただジョンK. はあくまでも各話演出であって, この作品でかれの名が有名になったわけではないようだ。
スタッフの中にはバクシの「Fire and Ice」に参加している人もいるが, ジョンK. とおなじようにフィルメーションから引きぬかれてきた人が多いようで, のちに彼とともに Spümcø を結成する Jim Smith や Lynne Naylor をはじめ, 「レンとスティンピー」や「タイニー・トゥーンズ」と共通するスタッフが多い。 Bruce Timm はレイアウトをやっていたようだ。
この新しい Mighty Mouse も, 旧作のリメイクを土曜の朝に放送するという点では従来とかわらないが, 各演出の裁量にまかせられている部分が大きく, のちの「タイニー・トゥーンズ」に近いふんいきの, パロディあり, なんでもありの番組になった。
番組は CBS で放送されたが, 第2シーズンの途中で中断されたために, ぜんぶで 19話しかない (ジョン K. は第1シーズンにのみ参加)。 中断の理由は正確にはわからない。 ふつうは 「コカインを吸っているようにみえるシーンがあった」 ため, という理由があげられているが, そのシーンがあったのはずいぶん最初のほう(7話)のようなので, やや不自然である。 Toonarific での説明では, 子供より大人に受けたために, おもちゃが売れないスポンサーがきらったためという。
BBC の ローリングストーンズのコーナー で, 一部分の ビデオクリップ を見ることができる。 実写+アニメだが, アニメ部分はひと目でジョンK. の手になるものとわかる。
1980年代には米ニコロデオンは自局専用のカートゥーン番組をもっておらず, ワーナーの旧作や, カナダ・英国製の作品を放送していた。 現在からかんがえると意外だが, エステバンとかメイプルタウンなどの日本アニメも多かった。
Tattertown はニコロデオンが自前のシリーズを作ろうとして, そのパイロット版を 1988年のクリスマスシーズンに放送したもの。 ざんねんながらシリーズ本編がじっさいにつくられることはなく, パイロット版のみでおわった。
ストーリーはバクシが長年あたためていたもので, なくしたりすてられたりしたものがやってくる世界へすいこまれた女の子の話であったらしい (cf. The Big Cartoon Forum のメッセージ)。
1988年から作業を開始, ABC で放送される予定だった。 8エピソードが作られたようだが (The Big Cartoon Database による), 放送されずにおわった, まさに幻の作品 (1988年の 9月から 10月にかけて放送されたとしているサイトもある)。 ジョン K. が理想のカートゥーン作家とあがめるボブ・クランペット作品のリメイクで, とうぜん力がはいっていたものとおもわれるが, 絵コンテに重要を置くジョン K. と, 脚本段階ですべてを決定しようとする ABC 側との間で対立がおきたらしい。
Cecil の声をあてていたのは, のちにスティンピー役を演じることになる Billy West。 上記 Jim Smith, Lynne Naylor が参加していたほか, Chris Reccardi の最初の仕事もこの作品だった。 Burning Brush の「Live Auctions|Bon Voyage」から Chris Reccardi を選ぶと, 彼の略歴が書かれている。 当時 CalArts の学生だった Don Shank もバイトで参加していたが, ジョン K. は CalArts をきらっていたそうだ (Don Shank インタビュー による)。 Bruce Timm や Paul Dini も参加している。
「レンとスティンピー」の「Untamed World」は, ボツになった「Beanie and Cecil」のエピソードをもとにしているそうだ。
Troop Beverly Hills (邦題: ガールスカウト ビバリーヒルズ) は実写のコメディー映画で, ジョン K. は作品そのものにはかかわっておらず, オープニングアニメのみ担当。
投稿時刻 2004-09-28 12:21 於 toon::tv | コメント (0)